エクササイズはセックスにどんな影響を与えるのか?
毎日のエクササイズが心臓病や糖尿病、骨粗鬆症などの予防になるというのは、すでによく聞くことだ。
しかし最近行われた複数の研究によると、エクササイズはセックスライフの向上にも役立つ、ということが判明している。
<天然のバイアグラ>
男性にとって、エクササイズを続けることは「天然バイアグラ」としての役割を果たし、勃起不全のリスクを低くしてくれるという。
ある実験で、デスクワークをしている中年男性たちに、9か月間にわたるエクササイズプログラムに参加してもらった。
9か月後、男性たちはセックスをより頻繁にするようになり、男性機能も向上し、満足感も高まったという結果が出た。
また同じ9か月間でも、フィットネスのレベルが高かった男性のほうが、セックスライフもより向上するという結果となった。
<血流の多さ>
女性を対象にした実験の場合も、やはり身体的な活動の多い人ほど性欲が大きくなり、セックスへの欲求とその満足感が高まる、という結果が出ている。
この実験では、20分間の激しいサイクリングをしてからアダルト映画を見た女性と、なにもエクササイズをしないでアダルト映画を見た女性を比較した。
すると、サイクリングをした女性のほうが性的な興奮度合いが高い(=女性器の中の血流が多くなる)ことが判明した。
性欲の強さと血流の多さの関連は、男性の場合も女性の場合も、エクササイズがよりよいセックス機能につながることを説明してくれる。
<見た目の良さ>
またエクササイズによって自分のボディのルックスがよくなることも、よりよいセックスライフにつながるという。
男女ともにエクササイズによってシェイプアップした人はより自分がよりセクシーになったことを感じるため、セックスライフについても積極的になるのだ。
加えて体の強さ、柔らかさ、スタミナなどセックスに役立つ要素が、エクササイズで身につくのである。
また、筋力トレーニングによってテストステロンの分泌が高まるが、このテストステロンは男性・女性ともに性欲を高めてくれる役割があることも分かっている。
<トレーニングのし過ぎは性欲減退の原因?>
しかしトレーニングをしすぎると逆効果になる、とも言われている。
ある研究によると、過激なエクササイズを定期的に行う男性は性欲が弱めである、という結果が出ている。
プロのアスリートや、いわゆる「筋トレオタク」のように十分な休息を取らないでエクササイズをやり続けてしまう人たちは注意が必要、ということになる。
しかし、このような一部の人たちを除けば、私たちのほとんどは心配は不要であろう。
<スポーツ前のセックスは悪影響?>
逆にセックスがエクササイズへどのような影響を与えるのか?
昔から、スポーツ競技に参加する前にセックスや自慰行為をすると、攻撃性や強さが減少してしまう、などと言われている。
しかし、実際にはこの「アドバイス」を裏付ける研究結果はほとんど出されていない。
元アスリートの男性たちを対象に行った研究によると、彼らが奥さんとセックスしたの後に測定した握力と、最低6日間セックスなしで過ごした後に測定した握力を比較した場合、まったく違いがみられなかったという。
同じく男性アスリートを対象に行われた別の調査では、やはり性的行動はパフォーマンスに影響を与えない、という結果が出ている。
ただし、測定前の2時間以内にセックスをした参加者については、心拍数が高くなるという結果が出ていた。
つまり、少なくともセックスを2時間前に終えており、またアルコールや睡眠不足の影響がないのであれば、運動の前のセックスが悪影響を与えることはない、と言えるようだ。
むしろセックスには運動時にリラックスできる効果がある、とすら言われている。
もちろん、これは人によって異なるだろう。
多くのことはいまだによく知られておらず、また女性は男性よりも影響を受けやすいのか、ということも分かっていない。
<セックスはエクササイズなのか?>
ではセックスはエクササイズに含まれるのだろうか?
これについては、時間の長さと動きの強さによるようだ。
若い男女を対象にした調査によると、セックス中のカロリー消費量は平均で1分間に3~4キロカロリー。
(女性よりも男性のほうがカロリー消費量は多かった。)
この消費量は、ウォーキングやダブルスのテニスなどと同じレベルの消費量であるという。
しかしほとんどのカップルの場合、セックスにかける時間はほかのエクササイズよりも短い。
つまり1回のセックスで消費されるカロリー総量は、その他のエクササイズの場合よりは少ないことになる。
なおその他のエクササイズと決定的に違うのは、すべての参加者がエクササイズよりもセックスのほうが楽しい、と答えたことである。