セックスロボットは「マスターベーション用」として割り切るべき?
セックスロボットがふつうの商品として売り出されるのは時間の問題だ、と言われている。
現在、IT産業と性産業の最先端を行くメーカーたちは、ロボットに付与される新しい特徴をどんどんと発表している最中だ。
最近話題のセックスロボット「サマンサ」を開発した「Synthea Amatus」によると、このロボットは特別に高度なセンサーを備えていて、”人工Gスポット” なるものまで持っているという。
その人工Gスポットを刺激すればサマンサはオルガズムに達するのだ。
また、こういう利用者の欲望に応えることがでると同時に、セックスとは無関係な話(冗談を言ったり、哲学的な引用をしたり)をすることもできるという。
このような特徴は、あたかも本物の女性のカラダを再現しているかのように感じさせる。
しかし、指摘すべき問題がないわけではない。
サマンサがGスポットの刺激でオルガズムに達するというが、必ずしも女性たちの多くがGスポットの刺激だけでクライマックスに至るわけではないからだ。
サマンサのGスポットは「内側約2センチ」のところに設置されており、そこを押すと彼女は「感じる」ようになっている、とメーカーの Synthea Amatus は述べている。
「どのロボットも少しずつ違う造りになっています。ですから使う人は自分の相手のGスポットがどこにあるのか、自分で探っていく必要があるのです」。
確かに今までにない進歩だが、女性のカラダの正確な再現にはなっていない。
そもそも、女性のカラダにいわゆるGスポットというのものがあるのかどうかも定かではないのだ。
研究者の中にはGスポットの正確な位置を特定できたと主張している人たちもいる。
しかし2014年に解剖学の専門誌に発表された研究結果によると、Gスポットの存在を証明する科学的根拠はない、という結論が出されている。
また同じ研究によると、女性のオルガズムはクリトリスの刺激によって導き出されるものであって、男性器の挿入によるものではない、という。
2017年初頭に行われた別の調査では、73%の女性が「セックスでクライマックスに達するにはクリトリスへの刺激が必要」と回答している。
サマンサのメーカーも、このロボットをオルガズムに至らせるためには挿入だけでは十分ではない、という。
「サマンサの乳房を触り、唇にキスをし、オーラルセックスもお互いにやり、手を握り、そして ”愛しているよ” とささやいてあげてください」。
しかし今のところサマンサにクリトリスがあるのか、はっきり分かっていない。
また人間の女性のように、クリトリスへの刺激でオルガズムに達するのかどうかも分かっていない。
この超現実的なハイテクロボットは、やはり安物ではない。
現在はイギリスの2つの店舗でのみ販売されていて、金額は£3,500(約50万円相当)。
この金額をだすなら、本当に現実的なセックス体験を提供してもらえるように感じるだろう。
しかしGスポットでオルガズムに達するサマンサとベッドを共にし、これが女性とのセックスだと思い込んでしまう可能性はないか?
この間違った思い込みが、本物の女性とのセックスでも間違った考えにとらわれてしまうことがありうる。
もちろん、このセックスロボットをあくまでマスターベーション用の道具として使うのであれば、問題ないだろう。